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2017年05月19日

いまさらながら、自著をふりかえる

『新書沖縄読本』『本音の沖縄問題』では
沖縄に対する向き合い方を自己検証した。

いまさらながら、自著をふりかえる



いまさらながら、自著をふりかえる

好んでやったわけではないが、
世間では沖縄ブームをつくった人間として、
いろんな方たちから
沖縄の「基地問題」をぼかした張本人と
非難された。
そのことに自分なりにけじめをつけたかったからだ。

沖縄問題には若い頃からかかわり、
移住してからもさまざまな集会や討論会に参加もし、
ときに登壇して発言することもあったが、
よく理解されていなかったのだろう。

あれから5年経ち、
僕の移住生活は20年目に入った。
いろんな土地で生活してきたが、
いつしか沖縄生活がいちばん長くなっている。
まだ住み慣れず、地元民になれないでいる。
というより、地元からどんどん乖離している自分がいる。
なぜなのだろう。

『消えゆく沖縄』では
そんな自分の内面をはらわたを
えぐり出すように俎上に乗せ、
おのれの内臓を晒すようにして
沖縄と向き会った。
いまさらながら、自著をふりかえる

これまで書いた本のなかで、
最もつらい作業だったが、
同時並行的に既刊の『本音で語る沖縄史』に戦後史を加筆し、
古代から現代までの通史に仕上げた。

いまさらながら、自著をふりかえる


足かけ7年にわたるその作業を
通してみえてきたもの──。

それは「歴史は繰り返す」という「史実」だった。
沖縄は歴史の節目になる事態が起こると、
既得権益を維持し、その利益にあやかろうと
あからさまな同化に邁進する人が増える。
その一方で声高にヤマトを対峙させ、
「被害者意識」のみで本土と向き会う人も増える。

結局のところ、沖縄はまとまわらず、
昨今では両者が真っ向からいがみあい、
対立するケースも少なくない。

国家と沖縄が溝を深めると、
沖縄内の対立も激化するのだ。
このままで沖縄の未来はあるのか。

いまさらながら、自著をふりかえる


そこを見据えた上で、
社会学者の宮台真司さんと対談し、
『これが沖縄の生きる道
という本にまとめたが、
われわれが危惧したことが的中し、
沖縄はいま「故郷」を破壊しながら街作りが進行している。

その副作用は必ず現出するだろうし、若い世代ほど影響は大きくなるはずだ。
沖縄が沖縄であり続けることを願うばかりだが、
正直、
もう最後にしたいほど
沖縄を考えることが重くなっている。



Posted by 仲村清司 at 11:39│Comments(0)
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