てぃーだブログ › 仲村清司の沖縄移住録@2018 › 2004年03月

2004年03月31日

それはそれでそれなりの沖縄版パスタ

ちょっと前に、「カレー沖縄そば」を作ったという話を書いたが、読者から「私は沖縄風ラザーニアを作ったことがあります」というメールが寄せられた。

作り方はこう紹介されている。

「グラタン皿に短く切った沖縄そばを敷き詰めて、ミートソースをかけ、また沖縄そばを敷いて、ホワイトソースをかけて、トッピングにチーズをかけてオーブンで焼くのです」

ずいぶん手の込んだ料理ではないか。なんだかとっても美味そうな気がするのだが、本人は「普通に美味しくなかったです」と冷静な分析をされている。

しかしこの際、味のことはいいのである。大切なことはチャレンジする心なのだ。沖縄そばを別のかたちの料理できないかと奮闘している姿勢こそ評価されるべきで、そこにこそ料理人の哲学と美学があり、それがひいては21世紀の革命的なビジネスモデルを誕生させる「沖縄そば」のモチベーションマネジメントのフォームをグローバルスタンダード的に構築させていくのである。ついコーフンして、支離滅裂なことを書いてしまったけれど、きっとそうなのだ。

というわけで、ヘッポコ料理人はこのメールに触発されて、性懲りもなく沖縄そばの新メニューに挑んだのである。

よくよく考えてみると、あのカレーそばの敗因は、工夫不足にあったように思える。なにしろ、沖縄そばにオーブンを使う人がいるのに、カレー粉パラパラでは芸がなさすぎる。そこでパスタ風に仕上げたらどうなるかと考えた。

ならばというわけで、試食人の友人も招いて料理に挑む。フライパンにオリーブオイルをひき、にんにく、島唐辛子入れて香りを出し、そこにあらかじめ湯通しした沖縄そばを投入。味付けは塩・コショウとバジルソース。そう、「沖縄そばのバジリコ・ペペロンチーノ」である。

仕上がりはいかにも美味そうで、香りもグッド。バジルが絡んで彩りもいい。さっそく、試食してもらう。以下は、友人の評である。

「ふーむ。ま、これはこういうものとしてそれなりに味わえば、まあまあ斬新な味で、それはそれで十分にイケルんじゃないの」

どうも、奥歯に物が挟まったような意見で、よくわからないのだけれど、一応全部食べてくれたから、マズイというわけではなかったのだろう。しかし、料理人としてはこれでは満足できないのだ。

というわけで、沖縄そばの新メニュー開発に向けて、研究に余念のない日が続いている今日この頃なのである。  

Posted by 仲村清司 at 18:32Comments(0)

2004年03月24日

出る杭はどうすべきかという話

酒飲みの常で、甘いものを好んで食べることはしないが、このたび沖縄銘菓「チンスコー」に開眼してしまった。

といっても、オミヤゲ屋さんなどで一般に販売されている例の細長いやつではないぞ。すでに食べた人かもしれないが、「まんまるちんすこう」という商品だ。

その名の通り、丸い形をしたひとくちで食べられるミニサイズのチンスコーで、食感がやわらかく甘さも控えめで、僕のような辛党でも抵抗感なく食べられるお味。

はっきり申し上げて知らなかったという人は、「遅れてるー!」といわざるを得ない。なぜならこの「まんまるちんすこう」、生産が追いつかないまでに大ブレイクしているからだ。

なんて、エラソーに書いてしまったが、僕も東京在住のスイーツファンに教えられてこの商品を知ったしだい。なぜ東京の人が知っていたかというと、この商品、実は通販ネットでクチコミ的に人気になっていたからである。

なので、もしかすると沖縄県民の方が知らないかもしれない。ま、それはともかく、この商品が世に出たいきさつというのが面白い。

開発したのは角尾孝志さんと中西夕美子さん。名字からわかるように内地出身の人だ。もともと二人はアジアン雑貨や中国茶をネット販売していたのだが、中国茶を買った客から「沖縄のお茶菓子がほしい」との要望に応え、試行錯誤の上、現在の形にして売り出したのだという。

しかし、県内の食品会社からは「丸形では売れない」といわれ、不評だったらしい。よくいわれるように、沖縄は「出る杭は打つ」という風土。僕も出版の企画で何度も経験したけれど、沖縄では斬新な企画が通りにくく、この点では非常に保守的な土地柄だ。

はからずも、この二人もその洗礼を浴びたわけだが、市場の反応は正反対だった。首都圏を中心とする通販の客は定番のチンスコーになじみがなく、むしろ一口で食られるミニサイズを歓迎したのである。実際、丸形の方がオシャレでかわいいし、小さいゆえにダイエット派はカロリーコントロールもしやすい。売れる要素は大いにあったというわけだ。

そのお二人の健闘をたたえたく、先日さっそくお会いしたのだが、まさに、この商品にこの人ありと実感させられる人柄で、実に気持ちのいい方だった。即座に、応援しようと思いましたね。

というわけで、これからは「出る杭は育てる」ような風土を作らんとあかんよ、やっぱし!  

Posted by 仲村清司 at 16:30Comments(0)

2004年03月17日

待ち遠しや、世界最高県産酒!

酒といえば、これまで僕は「泡盛命!」の人生を貫いてきたのだが、ここんとこ別の酒に浮気している。

ラム酒である。カリブ海に浮かぶ西インド諸島を原産地とする蒸留酒で、原料はサトウキビの糖蜜。アルコール分は40%以上と高めだが、特有の甘い香味とコクがあって飲みやすく、カクテルベースや洋菓子の調理酒などによく利用されている。

日本ではあまり馴染みのない酒ではあるけれど、実は世界4大銘酒のひとつ。『老人と海』で有名なあのヘミングウエイもラムが大のお気に入りで、彼の代表作『海流の中の島々』にはこんな一節がある。

「フローズン・ダイキリは、アルコールの味が殺してあり、飲むほどに粉雪蹴散らしながら氷河をスキーで滑降する心地……」

フローズン・ダイキリとはラムとレモン(またはライム)ジュース、クラッシュド・アイスをミキサーにかけたカクテル。東京時代、僕はこのカクテルを飲んで、ラム酒のうまさというものに開眼した。だもんで、当時はカクテルだけでなく、水割りやロックでも飲んだものだが、このラム酒が、なんと、なんと、早ければ年内にも南大東島で生産されるというではないか。

考えてみれば、沖縄はサトウキビの一大生産地。なのでラムを生産してこなかったということ自体、不思議なくらいなのだ。

しかもである。泡盛は原料の米をタイから輸入しているけれど、ラムは地場の原料が使える酒なのだ。したがって、ラム酒が本格生産されれば、正真正銘の純県産の酒が誕生するというわけなのだが、忘れてならないのは、沖縄は世界最高品質のサトウキビが収穫できる土地だということ。ということは、今回誕生するラム酒は世界最高レベルのラム酒ということになるのである。

というわけで、発売まで待ちきれない僕は気ばかり焦って、いまは海外産のラム酒を夜毎飲んでいるのだが、驚くなかれ、今回、発売されるラム酒は女性3人が企画したものだという。

彼女たちは「サトウキビの島のイメージを生かした特産品をつくりたい」という思いがあって、このラム酒の生産を企画したというのだが、えらいなあと思う。

飲んでるばかりの男たちと性根が違う気がするのは僕だけではなかろう。とはいえ、とりあえず男ができるのはやはり飲んであげるしかないわけで、僕はめいっぱい飲むことで彼女たちを応援しようと、いまから決意している今日この頃なのである。  

Posted by 仲村清司 at 18:31Comments(0)