てぃーだブログ › 仲村清司の沖縄移住録@2018 › この一冊、おすすめでござ候

2011年01月19日

この一冊、おすすめでござ候

現在46刷。もう50刷までいってるかもしれないな。

年末に入手して、読もう読もうと気にかけながら、
仕事にかまけて、「ツンドク」本になりかけていた一冊。

この一冊、おすすめでござ候



「おーし! なんとしても今夜中に読み切るぞ」と、風呂に入りながら、寝床につきながら、ワァーと一気読みした。



神田神保町の古書店で偶然見つかった

「金沢藩猪山家文書 入払帳・給禄証書・明治期書状他 天保~明治」


という、武家のいわゆる家計簿記録を詳細に分析したもの。

この一冊、おすすめでござ候


単なる数字と明細の羅列しか綴られていないのにもかかわらず、
著者は武家とその家族のリアルな暮らしぶりと、
崩壊する幕府社会との関連性をするどく読み解いている。


特に印象に残ったのが、武家にはいわゆる「身分費用」がかかること。
武士という対面を維持するための年中行事、衣服代、交際費が
ばかにならなかったようで、
猪山家ではなんと支出の3分の1が身分費用に消えていたことがこの家計簿から判明。


この一冊、おすすめでござ候



出世頭というべきお役目につきながら、猪山家の内実は莫大な赤字。
それを女房殿が執念でやりくりして、借金をみるみる減らしている点も凄みがあった。できる女房とは危機管理に長けた人のことをいうのだなあとしみじみ実感。

子どもも偉い。13歳にして元服して、猛勉強して城に上り、一人前の給料をもらって、自分は一銭もつかわずに家計を援助している。


武家とはいえ、ここまでしてやりくりしないといけないなら、
身分は最低でも金のある商人が
新ビジネスを切り開こうとする海援隊をはじめとする
倒幕派と結託するのは当たり前で、
徳川家が倒れるのも無理はない。


薩長がどうの、晋作や龍馬がどうのという史観では知り得なかった
時勢のうつりかわりが、手に取るように理解できて、
ひとつ賢くなった気がした。

それでも武家には武家の誇りがあったし、
武家あってこそ、この島国の倫理の秩序が保たれていることも
ズドンと理解できましたわ。

それにしても150年前の日本人と、
いまの日本人はもはや別の民族ですな。

映画化されているのだけど、沖縄ではやってたのかな。
映像版もみる気になった値千金の書でござった。



Posted by 仲村清司 at 13:42│Comments(0)
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。